専門クリニックの生成AI患者アシスタント:受付への定型問い合わせを62%削減
皮膚科クリニックに、医療向けのガードレールを備えたRAG型の患者アシスタントを導入した事例です。8週間で、受付への定型的な問い合わせは62%、回答までの時間は68%減りました。
このクリニックの問い合わせ対応は電話が中心でした。来院前の準備、保険、薬に関する同じような質問でスタッフの手が回らなくなり、電話の保留時間が長くなっていました。業務手順書(SOP)は文書やメールに散らばっていたため、回答にばらつきがあり、新人の教育にも時間がかかっていました。
診療時間外の対応がなく、毎朝、未対応の問い合わせが積み上がっていました。担当者に回さずに解決できた割合や、回答までの時間を把握するレポートもありませんでした。8週間の目標は、定型的な問い合わせを50%以上減らすこと、よくある質問への回答時間の中央値を90秒未満にすること、折り返しの電話を減らしながらCSATを上げることでした。
まず、SOP、来院前の準備ガイド、保険に関するFAQを、正となる情報源として整理しました。安全なリポジトリでバージョン管理し、臨床担当者が確認する編集フローを通します。その上でRAGパイプライン(LlamaIndex/LangChain)を構築し、出典を示した回答を返すようにしました。PHI(保護対象の医療情報)は最小限にとどめ、保存時と通信時に暗号化しています。
会話の設計は、意図的に範囲を狭くしました。扱うのは事務的な内容と準備に関する内容だけです。診療時間、アクセス、保険、書類、術前・術後の注意事項がこれにあたります。ガードレールとして、医療上の助言ではないことの明示、回答を断るルール、キーワードと意図によるエスカレーションの条件、PHIのマスキング、レート制限、例外的なケースを人が確認する仕組みを設けました。担当者への引き継ぎには、会話の要約が付きます。
導入は複数のチャネルで行いました。サイト全体に設置したReactのWebウィジェット、Twilio経由のSMS/WhatsApp、電話の自動音声応答(IVR)からセルフサービスへの誘導、そして診療時間外の自動応答です。受付補助の機能は、来院の種類、保険会社、アレルギーと服薬のチェックリストを集め(診断は行いません)、処置に応じた準備の案内を送ります。PostHogのダッシュボードで、担当者に回さずに解決できた割合、回答までの時間、エスカレーション、CSATを追いました。毎週の会話ログの確認をもとに、対応範囲を広げ、言葉づかいを調整しました。
8週間後、受付が対応する定型的な問い合わせは62%減りました。よくある質問への回答時間の中央値は68%短くなりました(4分10秒から1分20秒)。対応後の簡易アンケートでCSATは18%上がり、診療時間外の対応の40%は患者自身で解決しました。
暗黙知を承認済みのSOPとして文書化したことで、よくある質問に関するスタッフの研修時間も短くなりました。そして3週目には、朝に積み上がっていた未対応の問い合わせがなくなりました。
3週目には、朝に溜まっていた問い合わせがなくなりました。患者さんは正しい準備をして来院されますし、チームにもようやく余裕ができました。
公開している導入事例は主に北米の企業のものです。金額はすべて米ドルです。社名は匿名にしています。


